オリジナル
2008年02月01日
写真がすきです。
映画も映画館で見ることが何よりと思っています。
最近は映画館の映像までデジタル化の波が来ております。
とても美しい映像・・・。 デジカメの進歩も凄まじく、
一昔前はインスタント写真の代替品でしたが、今では
芸術的な作品を多くの写真家がクリエイトしています。
私のデジカメも非常に優れた特性を持っていて、
とくにシャドウ(暗い影の部分)や黒い色の微妙な諧調表現を創作する際
今までのフィルムよりも格段にコントロールがし易く透明感があります。
画面で見ていてもプリントしても満足な出来といえます。
しかし、何か気持ち悪いのです。
フィルムカメラで写真を撮るとき、本当のオリジナルはファインダーで覗いた
ときに確認出来る純粋な光そのものです。
もっと大きなカメラでは覗き窓のすり硝子に反転して結像している画がオリジナル。
(すり硝子に映る画の美しさは覗いた人にしかわかりませんし、高品質なファインダー
に映る光を覗いている満足感はフィルムやプリントでは到底満たせないものです)
それが科学的に光に反応するフィルムという媒体がやかれて(写真は焼き物)ネガ
になります。(色が反転している)
それを透過光で見られるように現像にしたものがポジという所謂スライド等です。
(ネガを陰画と言いポジを陽画と言います)
今までは、各映画館に配給されるフィルムはオリジナルのネガから作られた
陽画のフィルムです。(この場合オリジナルはネガになります)
デジタル画の中身は、0と1の信号の束です。
オリジナルは信号。無数に複製されたコピーも信号。この信号の中身の違いは
完全にありません。(コンプリートリーセイムシングズ)
フィルムは日焼けし、傷がつき、劣化もするので永久にオリジナル時点での
クオリティを保存することは出来ません。デジタルは永久不滅です。
全ての複製が永久不滅でオリジナルもコピーも中身は一緒。(オリジナルの消滅)
フィルムなら、巻が違えば劣化具合や傷の状態も違うので時間が経てば、
全てのフィルムがユニークな存在として味わいを発揮します。
自分の人生はネガのように元としてのオリジナルを獲得できないかもしれません。
しかし、誰かが歩んだような人生でも沢山傷をつけながら必死に格闘すれば
古びた映画館にかかる味わい深いフィルムになれると思えるのです。
デジタルな(コピーな)成功はいらない! アナログな手応えとユニークを獲得したい!