伝統の崩壊
2007年10月23日
名古屋支店の木下です。
今、株式会社赤福の製造日偽装問題が大きく取り沙汰されています。
名古屋に生まれ育った私にとって「赤福」は身近な存在とも言え、
東京で勤務していた頃は、帰省土産によく赤福餅を買って
ご近所にお渡ししていたものです。
小学校の修学旅行で三重県伊勢市に行った際、
両親への土産として赤福を買って帰ったのが、
私にとっての“赤福との出会い”だと記憶しています。
偽装は30年も前から繰り返されていたということで、
「もしかしたら、あの当時のお土産もか…」と思うと、
何とも切ない気持ちにさせられました。
創業300年。
この長い歴史と伝統の重みが、この一週間で虚像と化しました。
不二家や雪印乳業、最近ではミートホープなど大手食品企業の
不正が記憶に新しいところですが、これらの不祥事のニュースを見て、
赤福はどのような心境で事業運営をされていたのでしょうか。
仮に、偽装そのものがあまりにも“日常”として染み付いていて、
そこにいた社員に違和感も罪悪感もなかったとしたら…。
赤福の社訓のひとつに「緻密致彼(ちみつちひ)」という言葉があります。
その説明の中に次のような文面があります。
「顧客満足のためには、開発も生産も提供も運営も、
全てが「緻密」で一貫していなければならない。」
「すべき仕事を十二分に行い、その積み重なりが人をして、
会社をして、彼岸に到達させる道(致彼)である。」
あらゆるすべての業務が一貫した緻密さの基に行われ、
その積み重ねの先に、人として、企業として、目指すべき究極の姿がある。
皆様も今一度、企業理念や社訓を振り返る契機とされてはいかがでしょうか。