超マーケティング・タクシーvol.2
2008年06月20日
昨日に続いてのタクシー談義。
タクシーが売上の設計図を持つとどんなことになるのか?
●普通、僕らはタクシーに乗るところをイメージすると、
「流しているタクシーをつかまえる」感覚がありますよね。
タクシーの運転手さんからすると、「走ってなんぼの商売」。
他の人よりも多くの距離を長く走ることで、お客さんとの遭遇回数を
上昇させるのです。
僕は運転手さんになったことはありませんが
「次の信号、左行こうかな?右行こうかな?
どっちにお客さんがおるだろ?」
なんて視点で見てしまいそうです。
●ところが、マーケティングを本質的に理解している
運転手さんが取る行動は、全く別物です。
決して・・「無駄には走らない」のです。
「ひょっとしたら魚がたくさんいるかもしれない」という
大きな池に、待望を抱いて、何度も何度も釣り糸を垂らすのではなく、
「明らかにそこに魚がいます」という、小さな池を目がけて
釣り糸を垂らし、丁寧にとっていくのです。
●僕が昨日乗ったタクシーの運転手さんは、まさにそんな行動です。
詳細をたくさん聞きましたが、彼の本業に差し支えるかも
しれないので、彼のテクニックの一部をご紹介します。
まず、彼は、毎日ほぼ同じ時刻に、同じ場所に出没します。
それも、午前・午後・夕方・夜と、時間帯によって出没する
エリアを変えていきます。
●僕が乗ったのは、丁度夕方の時間。
名古屋市の白壁で仕事を終え、タクシーを探そうと
まさに通りに出た瞬間でした。
100mほど前方にいた1台のタクシーが、
なんと僕目がけて「バック」で近寄ってくるではありませんか!
明らかに、僕がタクシーを待つそぶりに見えたらしいです。
●実は、その時間帯、白壁近くの高級マンションからは
毎日必ず数名の「夜の商売」のお姉さんが、タクシーを
拾いにでかけるそうなのです。
数年前からこのことに気付いた運転手さん。
この辺りのこの時間帯の100m前後は
自分のエリアと決めました。
●そして、ひたすら毎日魚が必ず採れるこのエリアに出没。
100m範囲は、バックミラーやサイドミラーなど
全神経を集中して見渡します。そして、魚が現れると一目散。
バックだろうがなんだろうが、そのエリアの中の魚は必ずゲットします。
それを続けるうちに、乗客もほぼ顔見知りになります。
そして、そして、毎日、彼は同じようなルートを通る ことで
抜け道も詳しくなっていきます。どのルートを辿れば、
信号に引っかかることなく、すすめるのかを把握します。
お客さんからすると、それが有難いので、今度は流しを
待つより、彼を探してしまう。
●つまり言葉は悪いですけど、毎日、無駄に動くことなく
必ずお魚が釣れる場所を確保しているのです。
それも、時間帯によってどこに釣り糸を垂らしたらいいか
計測してるんですよね。
同時に、こんなこともやってました。
●助手席には、オペラハウスの講演スケジュールが。
聞いてみると、オペラの終了時間を把握して
それに合わせて迎えにいくそうです。
すごいのは、終了時間が明記されてない講演は
直接電話をして、確かめるそうなのです。
同じようなスケジュール表をを何枚も持ってます。
そのスケジュールを見ながら、何人ぐらいの規模だったら
一番確立がいいか計測しています。
恐るべし、マーケティング頭脳。
●「他の人はなんで、同じことをやらないんですかねえ?」
と尋ねたところ、納得の答えが返ってきました。
「タクシー運転手が一番嫌なのは、じっくり待つことなんです。」
「無駄でも体を動かしていた方が、何かをやった達成感があるん
じゃないですかね。」
んんーー
まさに、現実の経営そのものです。
タクシー運転手さんでも、会社経営者でも同じですよね。
体に汗をかくよりも、頭に汗をかく必要がありますね。
本当に勉強になる、活きたマーケティング事例でした。
取締役 名古屋支店長 西田敬一


